昨日発表された米新規失業保険申請件数は事前予想を下回る２４万９０００件という結果になり、雇用が安定しつつある良好な数字として市場に理解されました。年内、大筋では１２月の利上げに対し整合性が保たれていることでドルが買いやすい相場となりました。

ドル円も今週はずっと上昇が続き、１ドル１０４円台にも差し掛かりました。８日連続で円安に動いており、９月５日に付けた１ドル１０４．１３円が強く意識されるようになりました。

８月中旬ごろから見るとダブルボトム（８月１４日、９月２７日）が完成しており、９月５日は雲に戻されていますが今回は１００．００円から１０２．００円のレンジが続いたことで雲が下がりきれいに上抜けています。

テクニカルな動きで見れば、懸念としてはダブルボトムではなくこれからダブルトップになることが考えられます。９月５日と昨日が上値の目処で意識されていったんは戻す方向に行くことも考えられますが、いずれにせよ転換点として今日発表される雇用統計は重要な指標となりそうです。

事前予想ではプラス１７．２万人で、失業率４．９％と見られています。前回の結果が１５．１万人と、前回予想の１８．０万人を下回ったことで瞬間的に売りが入りましたがその後戻す展開になりました。

今回は前回よりも強い雇用者数の結果になるのではないかと考えます。つまり１５万人より多くなる結果になると思いますが、一方で事前予想を超えるかは微妙なところで、しかも強い結果が出ても２０万人は超えないだろうと考えます。ただ、もし２０万人を超えてくればADPが振るわなかったことも相まって“やっぱり”強い米経済と評価され年内利上げの確実視がより強いものになります。

過去の統計を見てみると、９月発表の雇用者数は例年低く、直近で見れば８月の雇用者数を上回る結果になったのは２０１４年だけとなります。その時は予想２１．５万人に対して結果２４．８万人と強い結果になりましたが、他の年はいずれも予想２０万人前後に対し１５万人以下の結果となり、８月雇用統計より低い数値が出ています。

今回雇用者数が前回よりも強い数字になるのではと考える要因は、最近の米経済指標が好調なこと、８月雇用者数が伸びなかったことにあります。ただ、失業率が低いということは完全雇用に向けて順調であるのと同時に新規に雇用する者が減るのである程度の“ならし”は必要かも知れません。

失業率は事前予想４．９％と同じになるのではないかと考えます。前回は予想４．８％に対し結果４．９％で、６月からずっと同じ結果となっています。５月に４．７％となったものの、今年に入ってから４．９％が５回出ており今回もそれくらいの基準になるのではないかと思います。もし、失業保険申請件数などが堅調な動きを見せているにも関わらず５．０％の結果になれば悪い材料として見られるかも知れません。

肝心のドル円の幅ですが、好調な結果になった場合は１ドル１０５円に乗せることもあり得ると思います。もちろん、発表までに大幅に下落すれば別ですが、今のレンジからいくと１ドル１０４円前後は堅く、１０３．６０円より上で雇用統計に臨めば発表後に１０４．５０円ほどに跳ね、その後も上昇を続けると思います。

もう一つ懸念するとすれば、今の動きは円主導ではなくユーロドルの動きに円が釣られている状況で、あくまで海外の動きに習っているだけと言える相場なことです。ブレグジットやドイツを始めとするユーロ不安は残っており、堅調な原油価格や株式などリスクを選好する要因は多いものの、米と欧州で金融政策の思惑が広まればリスクオフとして安全通貨の円が買われる状況も十分に考えられます。

さらに中期的に見るとドル円の企業想定レートは１ドル１０８円ほどであり、１０４円台に戻っているとは言えまだまだ乖離しています。各企業の業績下方修正の可能性は依然として強く、日経平均も上昇を続けてはいますが取引金額を見ると積極的にロングを狙っている動きとは言えないかも知れません。短期筋のファンドが買い漁っただけで、一定期間が過ぎれば元に戻るとの見方もあります。

とはいえ、今日の雇用統計で（上でも下でも横ばいでも）来週以降のレンジが決定する可能性は高いので、結果に注目したいと思います。

個人的な予想としては雇用者数１８万人程度（事前予想よりは上）、失業率は事前予想通り４．９％と考えます。ドル円は上値を抜け、今まで高値が続きロングを様子見していた市場も、しっかりと雲を抜け上昇トレンドに入っていると判断するようになり押し目買いのロングが増加して円安トレンドが続くと考えます。

悪い結果が出ればレンジが変わらず再び１００円から１０４円のレンジ内で動くことになりそうで、いったん１０１円台を目指す展開になるかも知れませんが、あまり悪い結果がでることは考えたくないですね…

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