いよいよ今週はビッグイベントである日銀金融政策決定会合とFOMCが半日離れているとはいえ同日に発表されます。今日は経済指標も少なく、ビッグイベントを控えた相場は様子見ムードが広まりそうです。
久しぶりのビッグイベントであり、内容次第では今後材料の基準として見るべき経済指標なども考える必要があります。
1.日銀は追加緩和なし、FOMCも利上げ見送り
これが市場で一番考えられているパターンです。日銀の追加緩和はマイナス金利の深掘りとして−0.1%から−0.2%への拡大などが噂されていますが、以前に「FOMC決定前に追加緩和すべきではない」と言われていたことから、日銀は追加緩和や量的緩和を保留する公算が高いです。ただ、マイナス金利などの政策を肯定する方向性は変わらず、黒田総裁は追加緩和や量的緩和について「いつでも可能」としてくるでしょうが、市場がどう反応するか注目です。
そしてFOMCでFRBが9月利上げを見送ることも市場はほとんど織り込んでいます。イエレン議長や各要人が利上げに対し強気な発言を続けたあとに発表された今月の各経済指標が軒並み悪い結果となり、利上げ期待が後退しています。
日銀が追加緩和を見送り、現状維持となれば円が買われ円高になります。「統括的な検証」でもし緩和が終了に向かうことになればさらなる円高にチャレンジしそうですが、いずれにしてもFOMCまでにいったん落ち着きそうです。そしてFOMCでも利上げが見送りとなったことでドルが売られやすくなり、さらに円高に向かうことが考えられますが、どこで止まるかは年内利上げの確度が重要になりそうです。
動きとしては最も予想されているため、比較的限定的になるかも知れません。
2.日銀は追加緩和なし、FOMCは利上げ
市場ではサプライズとなります。日銀発表後と黒田総裁の会見後に円高が進み、FOMC待ちとなった相場で利上げの決定を受けるとドルが買われ一気に円安に向かうと思います。その幅は日銀が追加緩和を保留したことによる円高をカバーし、結果として円安で終わる可能性が高いです。
FOMCが強気に踏み切ったことでドルが買いやすくなり、これ以降も円安トレンドが続く可能性があります。
3.日銀が追加緩和拡大、FOMCは利上げ見送り
一部投資家が根強く考えているパターンです。「FOMC前に追加緩和政策を行うべきではない」とされた見方を無視して、「統括的な検証」の結果が追加緩和拡大であるとすれば、円が売られることは避けられません。マイナス金利の深掘りに対し、市場へのマイナス面を認めつつも効果があるとして実施すればかなりの円安に向かうでしょう。量的緩和の拡大をあわせても銀行株の売りは止まらないかも知れません。
大幅に円安に動いた後、余韻を残してFOMCに参加することになります。利上げ見送りとなれば一気に上げた円を買い時と判断しドルを売って円を買う可能性があり、そうなると追加緩和で上げた円安分が一気に解消する可能性が高くなります。
とはいえ追加緩和が下支えとなり、利上げ見送りは織り込まれているので下げ幅は限定的になり、日銀発表前と同水準くらいで止まる可能性が高そうです。
4.日銀が追加緩和拡大、FOMCも利上げ
一番のサプライズとなります。マイナス金利を拡大する日本と、逆に利上げをするアメリカの経済政策の違いがより一層はっきりとし、きれいに円を売ってドルを買う流れが続く結果になりそうです。この場合の上げ幅はかなりのもので、その後もトレンドが続くことになりそうです。
以上、大きく4パターンに分けてみましたが、実際には細かい内容も考慮する必要があります。追加緩和は保留したものの、量的緩和は維持していくのか、今後の政策など「統括的な検証」の結果に注目したいと思います。FOMCでも単に利上げを見送るとしただけではなく、年内利上げの可能性をどれほど匂わせるのか、ハト派的発言に戻ってしまうのかなど、見どころは多そうです。
いづれにせよ今日は様子見で終わる可能性が高く、日銀もFOMCも明日からの二日間に渡ってとはいえ、本番は明後日なので明日も比較的落ち着いた相場が続きそうです。
振れ幅は非常に大きく、円高では久しぶりの100円割れを試す展開になってもおかしくないかも知れません。追加緩和を保留した後の黒田総裁の発言で、いつでも追加緩和は可能としてくると思いますが、これが市場にどう捉えられるかで下支えができるかどうかになりそうです。
とはいえ円高に傾くシナリオはいずれも織り込み済みなので、ある程度限定的になる可能性のほうが高いかも知れません。
円安方向に傾く展開はどちらもサプライズとなりますので、上値の伸びはかなりありそうです。開始前が仮に102円だとすると、3円幅くらいは動きそうな感じです。
年末までの動きにも影響するビッグイベントなので、しっかりと情報収集して対応していきたいと思います。
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